2023.04.05

【相続手続き】相続が発生した場合、誰に何を依頼する?

カワセミ

身内が亡くなってバタバタ…。
専門家の士業って色々いるけど、誰に何を依頼すべきか分からない…。

河鍋 優寛

士業はそれぞれ独占業務や得意分野があるので選ぶのも難しいですよね。
お任せください!
今日は相続に関する手続きで、何をどの専門家に依頼すべきか解説いたします。

相続に関する専門家として挙げられるのは、

「弁護士」、「司法書士」、「行政書士」、「税理士」

の4つではないでしょうか?

相続が発生する前と発生した後で業務がガラリと異なりますので、前後を対比させてお話します。

相続発生前(生前対策)

士業にはそれぞれ独占業務といい、その資格を有する者でないと行えない業務があります。

下の表をご覧ください。

弁護士司法書士行政書士税理士
相続についての相談
相続財産の評価
遺言書の作成・指導
不動産の登記××

相続発生前に専門家が介するのは、将来の相続について不安があったり、相続税を出来るだけ少なくするためのアドバイスを受けたりといった形が多いです。

不動産の登記は、司法書士が主に担っている業務です。

弁護士も不動産の登記は可能ですが、一般的に報酬が高額なことが多いことがネックです。

一方、遺言書の作成指導はすべての士業が可能ですが、実際に遺言書作成をプロに依頼する際には法律の専門家たる弁護士か司法書士に依頼するのが良いと言えます。

相続財産の評価もすべての士業が可能ですが、最終的な相続税申告や2次相続対策(生前贈与など)を含めて、税に関するアドバイスを受けるなら税理士がベストです。

相続発生後

相続発生後はやらなければならない手続きが一気に増えます。

また、相続発生後は期限がある手続きも多く、非日常的な手続きが必要になりますので大変です。

弁護士司法書士行政書士税理士
法定相続人の調査
(戸籍謄本等の収集)
相続財産の調査
(残高証明書等の収集)
相続放棄・限定承認××
遺言検認×××
準確定申告×××
相続財産の評価
遺産分割協議書の作成
相続税の申告×××
相続登記(名義変更)××
金融機関の相続手続き
相続人間の争い解決×××
税務調査の立会×××

上の表で詳細をまとめていますが、基本的にそれぞれの士業のポジションとしては、

【弁護士】 法律行為の代行・相続人間の交渉・調停
【司法書士】不動産の登記
【行政書士】相続手続きや書類作成
【税理士】 相続税・贈与税・準確定申告や税務調査の立会など税全般

となります。

このイメージがあれば表のご理解も得られやすいでしょう。

ちなみに、上の表の税理士の列で「」を付している箇所が2箇所あります。

「遺産分割協議書の作成」と「金融機関の相続手続き」です。

これについて解説します。

【遺産分割協議書の作成】
税理士が行う遺産分割協議書の作成は、相続税の申告に必要な場合(つまり、相続税の申告と併せて税務署に提出するため)に限られていると解されています。

【金融機関の相続手続き】
金融機関によっては相続人同行でなければ手続きが行えない金融機関もあります。
相続手続きのために前もって金融機関にアポを取ったり、スムーズに進むように必要な資料を準備しておくなどのことが出来ます。
私も相続人様の相続手続きに立ち会って参りました。

相続放棄や限定承認をしたい場合

相続放棄や限定承認は、主に相続財産の中に多額の借金がある場合に有効な方法です。

相続放棄はプラスの財産、マイナスの財産も含めて一切の遺産相続をしない方法で、

限定承認はプラスの財産を限度として、マイナスの財産を相続することになるため、借金をすべて弁済する必要がなくなる方法です。

しかし、これらの方法を取るためには、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

期限が短いため、気付いたときには手遅れだった…ということもあり得ます。

相続放棄や限定承認の相談は、弁護士もしくは司法書士の専門領域です。

相続人間で争いが起きている場合

相続人間で遺産分割についての争いが起きているケースも少なくありません。

弁護士は法律のプロであり、交渉・調停も弁護士にしか行なえません。

また、代理権がありますので、本人に代わって契約や遺産分割協議の交渉などを行う権利を有しています。

この代理権は他の専門家にはありません。

相続人間で争いが起こり、疎遠になった結果遺産分割協議が進まなかったり、現に争いが起こっているような状況では迷わず弁護士に相談しましょう。

ただし、1つ頭に入れていただきたい注意点があります。

それは弁護士を立てるのは最終手段だということです。

相続人の代理として弁護士を立てて交渉すれば、それは他の相続人からすると「宣戦布告」と捉えられ、徹底的に戦うというファイティングポーズに見えてしまいます。

仮に弁護士を立てて遺産分割協議が整ったとしても、その後の親戚付き合いが途切れてしまうことは充分に考えられます。

出来るだけ相続人同士で解決するのが理想論ではあるのですが、どうしても難しい場合は最終手段として弁護士を入れることも考えるべきだと考えます。

相続税の申告が必要な場合

表をご覧になればお分かりのとおり、税に関する業務は税理士にしか行なえません。

相続開始から4ヶ月以内に行う準確定申告や10ヶ月以内に行う相続税の申告、税務調査の立会などが挙げられます。

税理士は税のプロですので、相続税が発生しそうなご家庭や、相続税が発生するか分からないけど相談したいご家庭は税理士にまず相談しましょう。

また、遺産分割協議を行う際には相続財産を誰がどの程度相続するか協議することになりますが、その場合も相続財産の評価額を基にして協議することが大切です。

なぜなら、相続した財産の評価額の合計額に応じて相続税が課せられるためです。

相続財産の評価はすべての士業が可能だとお伝えしましたが、相続財産の評価が最も得意なのが税理士であり、更には亡くなった方から受けた過去の贈与も相続税の申告に反映させなければなりません。

特に評価が難しいのが不動産(特に土地)の評価や非上場株式の評価なのですが、これらは特に専門性が高い上に間違いやすいため、相続専門の税理士に任せるのが間違いないでしょう。

まとめ

今回は相続に関連したそれぞれの業務について適した士業の専門家をご紹介してきました。

法律のプロである弁護士、登記のプロである司法書士、書類作成のプロである行政書士、税務のプロである税理士のように、それぞれ専門分野や独占業務が異なります。

相談内容に適した専門家に相談することが結果的に手間やタイムロスも少なく済むでしょう。

相続に強みを持っている専門家を1つ見つけておくだけで心の負担も軽くなると思います。

カワセミ

なるほど、分かりました。
河鍋公認会計士・税理士事務所は相続税専門の税理士だから相続税の相談も大丈夫だね。

河鍋 優寛

もちろんです。
弊事務所では1人1人のお客様に真摯に寄り添い、満足度の高い相続税申告やコンサルティングを実施しております。
まずは、お問い合わせページからご連絡をお待ちしております。

福岡県那珂川市・春日市の公認会計士・税理士 河鍋 優寛でした。

この記事の執筆者

  • SHARE
PAGE TOP