
今回のコラムは、最新の税務情報や税制改正項目のうち、経営者に重要なトピックについてご紹介します。
目次(各項目に飛べます)
与党が参議院も過半数割れで、どうなる今年の税制改正!
7月20日投開票の第27回参議院議員選挙は、与党が大きく議席を減らし、非改選を含めても過半数を割り込みました。
国民民主党や参政党が躍進し、「多党化時代」を迎えています。
令和7年度税制改正では「103万円の壁」を巡り紆余曲折がありましたが、与党が衆議院と参議院の両院で過半数を下回ったことで令和8年度税制改正はさらに野党の協力が不可欠です。
消費税率の引下げや廃止を公約として選挙を戦った政党もあることから、消費税も論点の1つとなる可能性があります。
事業承継税制は売上高1億円以上50億円未満で活用
7月10日、中小企業庁の「第2回中小企業の親族内承継に関する検討会」で事業承継税制の活用企業の売上規模別割合が公表されました。
例えば、事業承継税制の特例措置(贈与税)の活用率は
<売上高>
1億円未満: 5%
1億円以上:37%
5億円以上:22%
10億円以上:29%
50億円以上: 4%
100億円以上: 3%
と、1億円以上50億円未満が中心です。
また、都道府県別の活用状況の比較では、「愛知」の活用割合の高さが突出し、宮崎、石川、鹿児島、富山が続きます。
逆に活用割合が低いのは、秋田、山形、茨城、千葉、鳥取、福岡、長崎で「沖縄」が最も低いという地域差もみられました。
この検討会は、今後の事業承継税制や後継者支援などを検討する会合となっています。
税制改正にどのような形で反映されるのか、注目したいところです。
▼詳しくはこちらから
中小企業庁「第2回中小企業の親族内承継に関する検討会」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shinzoku/002.html
帝国データバンクが「100億宣言」企業の分析調査を公表
7月24日、帝国データバンクは『「100億宣言」企業の分析調査』を公表しました。
7月7日時点で1,419社が「売上100億円を目指す」と宣言しています。
分析結果を抜粋すると、次のとおりです。
・応募対象となる年商10億円~100億円未満の中小企業約9.3万社のうち70社に1社(宣言率1.40%)
・「製造業」が4割を占めて最多
・「30歳代以下」の宣言率が全体平均の2倍超(34社に1社)
その他にも、
・資本金規模別
・従業員規模別
・代表者の就任経緯
などで傾向を分析しています。
▼詳しくはこちらから
帝国データバンク「「100億宣言」企業の分析調査」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/100okusengen100okusengen/
「100億企業」は下記の公式サイトから検索が可能です。
各企業の
・売上高100億円実現の目標と課題
・実現に向けた具体的措置(目指す成長手段・実施体制)
が書かれているため、同業他社の事例が確認できます。
▼詳しくはこちらから
100億企業成長ポータル「宣言企業一覧」
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/
まとめ
7月30日、与野党の国会対策委員長はいわゆる「ガソリン税の暫定税率(25.1円)」を年内に廃止することで合意しました。
秋の臨時国会で関連法案の成立を目指し、現段階では廃止時期を「11月1日」にする想定です。
ただし、暫定税率の廃止に伴い、国・地方の税収は毎年、約1.5兆円減ると見込まれます。
衆参両院で少数与党となった結果、代替となる財源の議論をする前に野党と合意せざるを得ない状況になっています。
成立すれば、暫定税率が導入された1974年以来、半世紀ぶりに廃止されます。
今まで変わらなかった制度が「変わる時代」を迎えています。
暫定税率の他にも、目玉となるテーマが出てきそうです。
今後の動向に注目し、適宜、最新情報をお届けします。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。