
今回のコラムは「事業性評価による融資の概要」についてです。
「事業性融資の推進等に関する法律」が2024年6月7日に成立し、2026年5月25日に施行されることになりました。
この法律は企業価値担保権(※)の創設などにより、不動産や経営者保証に頼りすぎない事業性融資を促進するものです。
この新しい制度の核となる事業性評価について概要と融資を受けるためのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
※企業の「総財産」(有形資産、無形資産を含む事業価値全体)を担保とする新しい担保制度です。
目次(各項目に飛べます)
事業性評価とは
事業性評価とは、金融機関が現時点での財務データや保証・担保にとらわれず、企業訪問や経営相談などを通じてさまざまな情報を収集し事業の内容や成長可能性などを適切に評価する手法を指します。
従来型の融資審査では過去の実績や担保力が重視される傾向にありましたが、事業性評価では企業の将来的なポテンシャルに焦点を当てます。
この評価は従来の審査に追加して実施されるものであり、事業性の評価結果のみで融資の可否が判断されるわけではないことにご留意ください。
▼動画視聴はこちら
金融庁が後押しする新制度「事業性評価」 新しい融資評価方法が来年スタート!
https://youtu.be/cTN0YxbLXVA
事業性評価の重要性
金融庁の指導方針のもと、金融機関は企業の真の価値を見極め、事業成長を積極的にサポートするというより本質的な役割を重視するようになります。
このため融資の可否を判断する際には単に過去の決算書や現在の財務状況だけでなく、以下の点を総合的かつ深く評価するようになります。
事業内容・ビジネスモデル
自社の持つ独自性、市場における競争優位性、そして収益構造の安定性を吟味します。
経営戦略・計画
明確なビジョンに基づいた具体的なアクションプランが示されているか、またその計画の実現可能性は高いかという点が重要視されます。
経営者の能力・資質
経営者自身のリーダーシップや実行力、そして事業に対する強いコミットメントや資質が評価の対象となります。
財務以外の強み
技術力、安定した顧客基盤、質の高い人材育成など、決算書にはあらわれない無形資産についても重要な評価要素として考慮されます。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(金融庁)
https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html
事業性融資を受けるための流れ
① 評価・事業計画の策定
自社の強み、成長戦略、将来の収益見込みを整理し、具体的で実現可能な事業計画書を作成します。
② 金融機関への相談・申込み
策定した事業計画書を持参し金融機関の融資担当者へ相談。
自社のビジョンと融資の必要性を説明し、融資を申し込みます。
③ 事業性評価(ヒアリング・現地調査)
金融機関が事業内容、経営者の資質、市場環境などを多角的に調査・ヒアリングし、事業の将来性を深く評価します。
④ 審査・条件提示
提出資料と評価結果に基づき金融機関内で審査が行われます。
審査通過後、融資金額、金利、返済期間などの融資条件が提示されます。
⑤ 契約・実行
提示された条件に合意すれば契約を締結し、指定された口座に融資資金が入金されます。
まとめ
2026年5月施行の「事業性融資の推進等に関する法律」は日本企業の成長を後押しする重要な転換点となります。
企業経営者はこの機会に自社の事業の将来性を深く見つめ直し事業性評価に耐えうる具体的かつ実現可能な計画を持って金融機関との対話に臨むことが事業拡大の鍵を握るでしょう。
自社の厳密な分析が重要になります。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。