
今回のコラムは、最新の税務情報や税制改正項目のうち、経営者に重要なトピックについてご紹介します。
目次(各項目に飛べます)
ガソリン暫定税率、「年末廃止」で正式合意
11月5日、物価高への対応として、ガソリンと軽油の価格を引き下げるため、自由民主党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、公明党、日本共産党の与野党6党の税制調査会長らによる実務者協議が開かれました。
この中で、ガソリン税の暫定税率(1リットル25.1円)を「12月31日に廃止する」ことで正式合意しました。
小売価格が一気に下がらないよう、補助金で段階的に価格を下げていく予定です。
軽油引取税の暫定税率(1リットル17.1円)も「来年4月1日」に廃止されます。
なお、安定財源確保については今後1年程度を目途に結論を得るとされています。
▼詳しくはこちらから
自由民主党「ガソリン減税年内実施、正式合意の内容を確認」
https://www.jimin.jp/news/information/211748.html
投資用不動産を利用した節税スキームが問題視
11月13日、政府税制調査会は「第4回 経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」として、次の3つの説明資料を公表しました。
・事業者のデジタル化と記帳水準の向上
・税務執行に関する諸課題
・財産評価を巡る諸問題
このうち「財産評価を巡る諸問題」では、「貸付用不動産を利用した節税スキーム」や「不動産小口化商品の贈与」が問題視されました。
11月26日の自民党税制調査会でも議論され、これらの評価方法の見直しが行われる模様です。
相続税対策で評価額を下げるために投資用不動産の購入を検討されている場合は、税制改正の動向にご留意ください。
▼詳しくはこちらから
政府税制調査会「第4回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/digital-noukan/2025/7digital-noukan4kai.html
自民党税制調査会の議論が本格的にスタート
11月20日、自民党の税制調査会は総会を開催し、令和8年度税制改正の議論を開始しました。
今回の注目論点は次のとおりです。
所得税
・基礎控除の引上げ(国民民主党と協議)
・NISAの拡充(年齢制限撤廃など)
・食事補助の非課税枠の引上げ
・マイカー通勤者の駐車場代の非課税化
・住宅ローン控除の延長・拡充
資産税
・事業承継税制の見直し
・貸付用不動産を利用したスキームの節税防止
法人税
・研究開発税制の見直し
・30万円未満の少額減価償却資産特例の拡充
・大胆な投資促進税制の創設
消費税
・インボイス導入に係る経過措置の見直し
・海外EC取引の消費税の少額免税の見直し
まとめ
昨年度の「令和7年度税制改正」は1週間遅れで11月25日に総会が開催され、「年収の壁」の問題など協議の関係で、大綱の公表も12月20日と遅れました。
令和8年度税制改正は、今のところ、例年に近いスケジュールで進んでおり、12月12日頃に大綱の公表が予想されます。
ただし、連立を組む日本維新の会はもちろん、国民民主党や公明党などの野党との協議もあり、議論の進捗によっては大綱の公表時期が遅れる可能性もあります。
これから報道等で税制改正に関するニュースを多く見かける時期となりますが、次回は、与党大綱をもとに最新の税制改正の情報をお届けします。

弊事務所では1人1人のお客様に真摯に寄り添い、満足度の高い相続税申告やコンサルティングを実施しております。
相続税申告の見積りや初回相談は無料で行っております。
まずは、お問い合わせページからご連絡をお待ちしております。
福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。