
今回のコラムは「働き方改革推進支援助成金」についてです。
働き方改革の波が加速する中、特に人手不足や長時間労働が深刻な課題となっている業種において、いかに生産性を高めるかは経営の命題といえるでしょう。
そういった課題を強力に後押しするために誕生したのが「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」です。
そこで今回は、最大1,070万円という手厚い支援を受けながら企業の未来を切り拓くための当該制度について解説します。
目次(各項目に飛べます)
働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)とは
このコースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入や医師の働き方改革推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主の皆さまを支援します。
① 支給対象となる事業主
本助成金を受給するためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
1)労働者災害補償保険(労災)の適用事業主であること
2)交付申請の時点で、後述する「成果目標」の設定要件を満たしていること
3)年5日の年次有給休暇の取得に向け、就業規則を適切に整備していること
4)36協定を締結し、労働基準監督署に届け出ていること
5)以下の対象業種に該当する中小企業であること
建設業、運送業、病院等、砂糖製造業、情報通信業、宿泊業
② 支給対象となる取組
以下の取組の中から、いずれか1つ以上実施してください。
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
- 労務管理用機器の導入・更新
- デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)
③ 支給上限額:最大1,070万円
取組に要した経費の一部が、設定した成果目標の達成状況に応じて支給されます。
上限額は非常に高額に設定されており、大規模な設備投資を検討している企業にとっても非常に魅力的な内容です。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692_00001.html
成果目標の設定
助成金を活用するためには以下の7つの成果目標から自社に適したものを1つ以上選択し、その達成を目指す必要があります。
業種によって選択できる項目が異なるため、注意が必要です。
① 時間外労働の上限設定(全業種)
36協定における時間外労働を月60時間以下あるいは80時間以下に縮減し適切に届け出ること
② 有給休暇の計画的付与(全業種)
あらかじめ休みの日を決めておく「計画的付与制度」を新たに導入すること
③ 時間単位の有給・特別休暇の導入(全業種)
1時間単位で休暇を取れる制度や病気休暇といった特別休暇の規定を1つ以上新たに導入すること
④ 勤務間インターバルの導入(全業種)
終業から翌日の始業までに「9時間以上」の休息時間を確保する規定を新たに導入すること
⑤ 所定休日の増加(建設業限定)
4週5休から4週8休以上の範囲で所定休日を増加させること
⑥ 医師の働き方改革(病院等限定)
労務管理体制の構築と、医師の労働時間の実態を正確に把握・管理するための取組を実施すること
⑦ 勤務割表の整備(砂糖製造業限定)
3直3交代制などの新しい勤務シフトを整備し効率的な労働体制を構築すること
まとめ
申請には期限や詳細な要件があるため、まずは自社がどの目標に合致するかを確認し、早めの準備を開始することが成功の鍵となります。
そのためにもまずは要件を確認し、迅速に対応できる体制を構築しておきましょう。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。