2025.04.28

【時事解説】新しい世界貿易システム「マールアラーゴ合意」

今回のコラムは「マールアラーゴ合意」についてです。

(株)日本ビジネスプランの記事を紹介します。

現在、世界の外国為替市場では、「マールアラーゴ合意」という言葉が注目を集めています。

為替市場における「〇〇合意」とは、主要各国の財務大臣・中央銀行総裁が集まり、今後の為替の動向について合意をなす会議を指します。

近々、こうした合意の1つ「マールアラーゴ合意」がなされるのではないか、と話題になっています。

なぜ、合意が必要なのか。

トランプ政権では米国の貿易赤字の削減を重視しています。

2024年、米国の赤字は1兆2,000億ドル(約179兆円)にのぼり過去最大を記録しました。

自国の貿易赤字を減らすには、自国通貨が安ければ安いほど有利に働きます。

また、トランプ氏は弱体化した米国製造業の復活を政策の一つに掲げています。

自国の製造業にとって、自国通貨が安ければ国際的競争力が高まることになります。

近年、ドルは高含みが続いています。

今後、トランプ氏はドル高是正のための新たな国際的枠組み構築に踏み切ると予想され、その施策の1つが「マールアラーゴ合意」です。

ちなみに、マールアラーゴというのは、フロリダ州パームビーチにある米国国定歴史建造物でトランプ氏の別荘の名前でもあります。

これまでにも為替に関する合意は実施されてきました。

代表的なものには、1985年、日本の対米貿易黒字削減の合意「プラザ合意」があります。

先進5か国の財務大臣・中央銀行総裁が集まり合意がなされ、結果、1ドル235円から1年後には150円台までドル安(円高)になりました。

「第2のプラザ合意」である「マールアラーゴ合意」が実施されると、円高ドル安が進み、結果、日本の製造業にとっては逆風となるのではないかと予想されています。

実際、トランプ政権発足後の円相場は円高ドル安傾向にあり、日本の製造業への影響が懸念されています。

世界の外国為替市場では、「マールアラーゴ合意」という言葉が注目を集めています。

近々、主要各国の財務大臣・中央銀行総裁が集まり、今後の為替の動向に関する合意の会議が開催されるのではないか、と話題になっています。

ことの発端は、トランプ政権の大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長に指名された、スティーブン・ミラン氏のレポートにあります。

ミラン氏はこの中で、ドル高の結果、米国製造業などの生産業者がコストを負担していると指摘しています。

つまり、ドル高により米国は必要以上の費用を負担している。

こうした経済不均衡は是正が必要で、施策の1つとしてレポートに記述されたのが「マールアラーゴ合意」です。

合意の結果、ドル安が進めば、米国の貿易赤字は削減の方向に動きます。

これはトランプ政権にとって望ましいことです。

ただ、いま、対米国で貿易黒字が大きいのは中国とメキシコ、ベトナムになります。

合意に至るには中国など新興国の参加が欠かせません。

こうしたことから、為替市場の関係者は、「新興国の合意を得るのは難しく、マールアラーゴ合意が実現するためのハードルは高い」とみる人もいます。

たとえ、マールアラーゴ合意が実現しなくとも、トランプ政権では関税を用いて国際貿易を刷新し、ドル安に向かわせようとしています。

実現のメカニズムは、米国が関税をかけると米国輸入品の価格が上がり輸入が減少。

輸入が減ると、その分、外国企業が外貨(ドル)を購入する機会が減るためドルに対する需要が低下します。

需要が減れば相対的に米国通貨安(ドル安)が進みやすくなります。

いずれにしろ、実際、米国の思惑通り、為替市場は円高ドル安傾向にあります。

今後の影響が気になるところです。

河鍋 優寛

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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