2025.04.03

【税制改正】中小企業事業再編投資損失準備金制度が拡充

今回のコラムは「中小企業事業再編投資損失準備金制度」についてです。

2024年度税制改正において、雇用の7割を抱える中小企業の成長を促し、労働生産性の高い中堅企業を育てていくことが重要であることから、中小企業事業再編投資損失準備金制度を拡充するため、適用期限が3年延長されます。

同制度は、一定の要件に基づく経営力向上計画の認定を受けM&Aを実施した際、実施後に発生し得るリスクに備えるため、株式取得価額の70%以下の金額を準備金として積み立てた際、積立額を損金算入できる制度をいいます。

同制度の拡充の背景として、買手側がM&Aを実施する前に売手側の財務、法務や事業のリスクを調査するデューデリジェンスに大きなコストをかけられない中小企業のM&Aには、簿外債務や偶発債務といった特有のリスクがある実態などが挙がっております。

そのため、成長意欲のある中堅・中小企業が複数回のM&Aを実施する場合には、積立率を現行の70%から最大100%に拡充し、据置期間を現行の5年から10年に延長されます。

この拡充は、産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で、同法の改正法の施行日から2027年3月31日までの間に産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を受けた認定特別事業再編事業者(仮称)であるものが、その認定に係る特別事業再編計画に従って、他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る)をし、かつ、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合に適用されます。

上記の場合において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その株式等の取得価額に、その認定に係る特別事業再編計画に従って最初に取得をした株式等は90%、それ以外の株式等は100%と、株式等の区分に応じた割合を乗じた金額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その金額は、その事業年度において損金算入できます。

なお、この準備金は、その株式等の全部又は一部を有しなくなった場合や、その株式等の帳簿価額を減額した場合等において取り崩しますので、ご利用になる方はあわせてご確認ください。

河鍋 優寛

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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