
今回のコラムは「中小企業における人材確保の現状と課題」についてです。
人口減少トレンドが続く中で、中小企業にとって人材の確保は避けては通れない経営課題となっています。
中小企業庁編「中小企業白書2024年版」では、中小企業を対象としたアンケートに基づいて中小企業における人材確保の現状と課題について分析しています。
アンケート調査の結果に基づき中小企業の採用の動向についてみると、直近3年間における新卒採用、中途採用の実施状況については、新卒採用で4割程度、中途採用で8割程度の企業が「行った」と回答しています。
次に直近3年間で中途採用を行った企業のメリットについて回答割合の高い順にみると、「即戦力となる(75.6%)」、「育成コストを抑えられる(32.6%)」、「優秀な人材を確保できる(30.9%)」となっています。
また、直近3年間で新卒採用を行った企業のメリットについて回答割合の高い順でみると、「社内が活性化する(61.9%)」、「計画的な求人・育成ができる(49.2%)」、「将来の後継者・幹部候補として育成できる(31.9%)」などとなっています。
さらに、直近3年間で中途採用を行った企業が、中途採用に感じている課題について回答割合の高い順にみると「応募が少ない(61.1%)」、「指導する人材の不足(23.6%)」となっており、応募の少なさを課題として認識する企業の割合が突出して高いことがわかります。
また、直近3年間で新卒採用を行った企業が、新卒採用に感じている課題について回答割合の高い順にみると、中途採用と同様に「応募が少ない(62.8%)」の回答割合が最も高い一方で、「育成に時間がかかる(44.5%)」、「指導する人材の不足(37.3%)」などといった育成負担についての回答割合も高くなっていることがわかります。
では、中小企業はどのような採用に向けた取組みを行っているのでしょうか。
そこで、中小企業庁編「中小企業白書2024年版」において、中小企業を対象に実施したアンケートに基づいて、採用に向けた取組みについてみていきましょう。
まず、インターンシップの実施状況についてみると、インターンシップを実施したことがある中小企業は3割程度存在していることがわかります。
次にインターンシップを実施したことがある企業がインターンシップの実施で得られた効果について回答割合の高い順にみると、「学生の意見を知ることができた(46.8%)」、「自社に合う人材の採用につながった(29.7%)」となっています。
このことから、インターンシップの実施は、実際の新卒採用に一定程度の効果があるととともに、すぐに新卒採用につながらなくとも学生の意見を知ることによって、今後の応募や採用につながっていく可能性もあると考えられます。
また、採用面接で自社から伝えている内容についてみると、「給与体系(82.7%)」、「休暇制度・福利厚生(81.6%)」、「期待する専門性・役割(69.6%)」、「自社の強み(67.1%)」などの順となっています。
採用面接の場で伝えている内容と伝え方について、アンケートの選択肢の項目以外で自由回答があったものをテキスト分析した結果をみると、「職場」、「環境」、「(勤務、労働、残業、就業)時間」など、職場環境の状況に関する単語の出現頻度が高くなっています。
さらに、職場環境の整備への取組み状況別に、従業員数の変動状況をみると、職場環境の整備に向けた取組みに積極的であるほど、従業員数が「増加」していると回答する割合が高くなっています。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
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