
今回のコラムは「大谷翔平選手のCM撮影が日本国内でなく米国内で行われる理由」についてです。

私は最近、大谷翔平選手に似ていると言われることが多くなりました(笑)
目次(各項目に飛べます)
なぜCM撮影が米国内で行われるのか
「広告効果絶大」とされるロサンゼルス ドジャース大谷翔平選手のCMがまた増えました。
今度は日本のコンビニチェーン(ファミリーマート)のおむすびのCMです。
おむすびは子供のころから大好きだったこともあり、ロサンゼルスで行われたCM撮影には、たくさん食べたいとの思いで昼食を抜いて臨み、撮影中に19個食べ、お土産としても持ち帰ったそうです。
食べた個数も桁違いですね。
CM提供を希望する会社はますます増え、これまでは4時間くらいかけていた撮影も、2時間程度に制限されているようです。
ご本人が超多忙だから撮影は地元で行われるということなのでしょうか?

それもあると思いますが、課税関係による背景もあるようです。
日本でCMフィルムの撮影を行った場合
大谷選手は米国に拠点を置いており(=日本に生活の拠点である住所がないので)、税務的には日本の非居住者です。
CM関連で支払われる報酬には、撮影の対価とコマーシャルとしてテレビ放映等で使用されることに対する許諾の対価の両方が含まれるものと考えられます。
これは人的役務の提供の対価となり、CMの撮影が日本国内で行われれば、日本の所得税法の規定により、国内源泉所得として20.42%の源泉徴収を行わなければなりません。
海外でCMフィルムの撮影を行った場合
一方、CMの撮影=人的役務の提供が日本国外(=本件の場合は米国ロサンゼルス)で行われれば、日本の税法的には、国外源泉所得となり、日本での課税関係は発生しないことになります。
また、コマーシャルとしてテレビ放映等で使用されることに対する許諾の対価の部分についても、著作権隣接の使用料とせずに、人的役務の提供の対価として同時に支払うことで全額が人的役務の提供の対価ということになれば、役務提供地に基づき国外源泉所得となりますので、日本での課税関係は生じないことになります。
なお、もし、この支払が法人(例えば個人会社やドジャース球団など)に対して行われていた場合には、区分は人的役務の対価に対する報酬ではなく、人的役務提供事業の対価となります。
ただし、日米租税条約により、「産業上又は商業上の利得」とされ、「日本に恒久的施設がなければ課税せず」に該当すれば課税されないことになります。
CMのギャランティーも桁外れでしょうから、上記のような背景もあって、撮影は米国内で行われたのかもしれません。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。