本日は、「最低賃金」に関するコラムです。
多くの地域で10月上旬に最低賃金が改定となりますが、都道府県によって発効日が異なる点にご注意ください。
最低賃金引き上げはまだまだ続き人件費の負担増が予想されますので、しっかりと対策を検討する必要があります。
目次(各項目に飛べます)
2035年までに1,500円程度に上昇!
政府は「物価高を上回る所得増へ!」をスローガンに掲げ2035年までに最低賃金を1,500円程度にするという目標を掲げています。
また労働団体の連合は2035年に1,600円から1,900円を目指すといった発表をしています。
つまり、最低賃金はまだまだ上がる予定です!
政府目標と連合目標いずれにしても最低賃金は今後も上昇していく見込みです。
中小企業にとっては人件費増加への対策が課題と言えるでしょう。
▼地域別最低賃金の全国一覧
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
九州では下記のように最低賃金が改定されます。
【福岡】941円 → 992円 令和6年10月5日発効
【佐賀】900円 → 956円 令和6年10月17日発効
【長崎】898円 → 953円 令和6年10月12日発効
【熊本】898円 → 952円 令和6年10月5日発効
【大分】899円 → 954円 令和6年10月5日発効
【宮崎】897円 → 952円 令和6年10月5日発効
【鹿児島】897円 → 953円 令和6年10月5日発効
【沖縄】896円 → 952円 令和6年10月9日発効
最低賃金引き上げに対する中小企業の対策
最低賃金の上昇に伴い中小企業はさまざまな対応を迫られます。
以下に具体的な対策をいくつかご紹介します。
① 助成金・補助金を活用する
最低賃金引き上げに伴う人件費増加をカバーするために国は中小企業向けにさまざまな助成金・補助金を設けています。
これらの制度を積極的に活用することで企業の負担を軽減することができます。
② 省力化・業務効率化を行う
最低賃金引き上げを行う中小企業の根本的な問題解決を行うために省力化や業務効率化に対する助成金や補助金も多数新設されています。
これを機に業務プロセスを見直し無駄を省き人材への依存度を減らし生産性向上を図りましょう。
③ 利用できる助成金・補助金【例】
具体的な助成金・補助金制度としては以下のようなものがあります。
自社の課題解決に適したものを積極的に検討しましょう。
● 業務改善助成金
生産性向上のための設備投資や人材育成等に対して助成を行う制度です。
業務効率化を図り人件費の抑制につなげることが期待できます。
● ものづくり補助金
中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
● IT導入補助金
ITツール導入による業務効率化を支援する制度です。
業務のデジタル化を進めることで人材不足の解消や生産性向上を図ることができます。
一方で、懸念点も…
最低賃金が上がるのは企業・労働者にとって良いことばかりではありません。
企業にとっては、人件費が増えることで採算が難しくなったり、人員の維持・採用にもコストが増大することになります。
良い人材が他に流れてしまうことにも繋がりますので、繋ぎ止めるには更にコストをかけなければならないような事態にもなってしまいかねません。
また、労働者にとっても課題はあります。
パート・アルバイトは扶養内で働く方も多いですので、最低賃金が上がることで扶養を外れてしまわないように、勤務する時間を減らすという調整に迫られることが考えられます。
結果的に、パート・アルバイトを多く採用している職場では人手不足に繋がってしまう可能性もあります。
まとめ
今回は10月に行われる最低賃金の改定について解説しました。
最低賃金引き上げは中小企業にとって大きな負担となりますが、適切な対策を講じることでその影響を最小限に抑えることができます。
助成金・補助金制度の活用や業務効率化などさまざまな対策を検討し、企業の安定経営を目指しましょう。
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福岡県那珂川市・春日市の公認会計士・税理士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者
公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。