
今回のコラムは「最低賃金引き上げに向けた中小企業等への支援策」についてです。
2025年度の最低賃金は全国加重平均で過去最大の引き上げ額となることが決定し、経営に大きな影響をおよぼすことが予想されます。
この歴史的な転換点において企業が賃上げを単なるコスト増と捉えるのではなく、むしろ企業の成長と生産性向上に繋げるための戦略的な対応が不可欠です。
そこで、経済産業省も賃上げの原資確保と生産性向上の両面から中小企業を包括的に支援するための対策を打ち出しています。
目次(各項目に飛べます)
経済産業省の中小企業等への支援策
経済産業省が掲げる中小・小規模企業への支援策は過去最大の引き上げ額となった最低賃金に対応し、賃金引上げに向けた環境整備を包括的に行うものです。
この支援は主に以下の3つの柱で構成されています。
賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化
適正な価格転嫁を実現し、賃上げの原資を確保するための商慣行の改善を図ります。
賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援
各種補助金や税制優遇を通じて、賃上げに取り組む企業への直接的な資金支援を行います。
生産性向上における賃上げ支援機能の強化
補助金の要件緩和や審査での優遇措置により生産性向上投資を後押しし賃上げ余力を創出します。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html
中小企業等への支援策の概要
賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化
- 改正下請法・振興法の着実な執行
- 発注側企業等における取引慣行の改善
- 幅広い業界での取引適正化の要請・働きかけの継続
賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援
- 地域の社会機能を担う事業者の販路開拓等を支援する持続化補助金等
- 賃上げ促進税制による赤字企業も含めた賃上げ支援
- 100億企業等に対する成長加速化支援
- 健全な新陳代謝や経営資源の有効活用を進める事業承継、M&A、再生支援等
中小企業等の生産性向上における賃上げ支援機能の強化
ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)の要件緩和と審査での優遇
最低賃金引上げは中小企業にとって待ったなしの経営課題です。
しかし、経済産業省などの支援策は価格転嫁から補助金、生産性向上まで多岐にわたり、企業が賃上げを成長の機会に変えるための強力な後押しとなるでしょう。
まとめ
これらの支援策を漏れなく把握し、自社の状況に合った最適な組み合わせで活用することが持続的な「稼ぐ力」の向上と従業員の処遇改善を実現する鍵となります。

弊事務所では1人1人のお客様に真摯に寄り添い、満足度の高い相続税申告やコンサルティングを実施しております。
相続税申告の見積りや初回相談は無料で行っております。
まずは、お問い合わせページからご連絡をお待ちしております。
福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。