
今回のコラムは「小規模宅地等特例の適用可否」についてです。
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核家族社会の老人の選択
高齢化社会になり、親が老人ホームに入所するケースが増えており、寿命の内、健康寿命を超える要介護期間が、男性9~10年、女性12~13年程度とされているので、最近の傾向としては、介護が必要となってからの入所よりも、元気なうちから入所を決める傾向になっています。
居住用小規模宅地の相続特例
平成25年度の税制改正において、老人ホームへの入所まで居住していた自宅の敷地に係る相続税の小規模宅地等の特例の適用について、一定の要件の下、その自宅の敷地は、相続開始直前における被相続人の居住供用宅地等の概念に該当することになる旨が法令に明記されました。
一定の要件とは、次の2つの要件です。
- 被相続人が要介護等認定者に該当(認定申請中に相続開始で事後認定も可)
- 入居老人ホームが老人福祉法等規定該当
小規模宅地の取得者要件
なお、宅地等の取得者ごとに係る要件もあります。
具体的な判定としては、次の各場合には小規模宅地等の特例が使えます。
- 配偶者が自宅に引続き居住の場合の配偶者が相続
- 夫婦で老人ホーム入所後、留守宅の自宅を配偶者が相続
- 被相続人が老人ホームに入所後、引続き居住をする同居親族が相続(生計一は要件ではない)
- ②の物件を③の同居親族が相続
- ③の引続き居住の同居親族が対象の自宅を建替えた後に引続き居住継続して相続
- 被相続人が老人ホームに入所後、留守宅を別居の親族の「家なき子」が相続
なお、③の同居親族については、以下の3要件が必要です。
- 相続開始直前に被相続人の居住用敷地に居住している
- 相続税の申告期限まで当該宅地等の所有継続
- 相続税の申告期限まで当該宅地等での居住継続
ちなみに
被相続人が老人ホームに入所後の留守宅に生計一親族が入居した場合は、要件不要で適用できます。
また、留守宅を賃貸した場合、特定居住用宅地等としての特例は使えませんが、貸付事業用宅地としての小規模宅地等の特例を使うことができます(3年以上の期間貸付けが条件です)。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。