今回のコラムは「相続した不動産の登記に関する制度改正」についてです。
下記は時系列順となります。
目次(各項目に飛べます)
10年経過遺産の相続分(2023年4月1日~)
被相続人の死亡から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分によって画一的に行うこととされます。
共有制度の見直し(2023年4月1日~)
共有物に軽微な変更では、全員の同意は不要、過半数持分で決定、所在等不明共有者については、地方裁判所決定を経て、所在等不明共有者の所有権無視で、持分取得や第三者への譲渡も可能となりました。
相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日~)
国庫帰属申請をするには、1筆の土地当たり14,000円の審査手数料が必要であり、審査を経て承認されると、10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。
負担金額は原則20万円です。
この制度を審査するには土地の要件もあるし、お金もかかるし今のままでは使いにくい制度だね。
相続登記の申請の義務化(2024年4月1日~)
相続等により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。
また、遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する必要があります。
これらの登記懈怠には10万円以下の過料が課せられます。
なお、遺産未分割で、相続登記不可の場合は、自分が相続人であることを法務局の登記官に申し出れば、相続登記の申請義務履行とみなされます。
DV被害者保護登記(2024年4月1日~)
DV被害者等を保護するため登記事項証明書等に現住所に代わる事項を記載する特例があります。
所有不動産記録証明制度(2026年2月2日~)【コラム作成時点で将来】
不動産登記名義人の住所と氏名を全国的に一括して調査し、所有不動産記録証明書というリストで証明する制度が始まります。
被相続人名義の不動産だけでなく、存命の名義人や法人名義の不動産も調査できます。
請求人は本人、相続人、法定代理人等に限定です。
住所変更登記義務化(2026年4月1日~)【コラム作成時点で将来】
登記簿上の不動産の所有者は、所有者の氏名や住所を変更した日から2年以内に住所等の変更登記の申請を行う必要があります。
登記懈怠には5万円以下の過料が課せられます。
なお、公的機関間情報による登記官職権登記も始まるので、この職権登記があると、住所等の変更登記の申請義務は履行済みとなります。
ただし、自然人の場合には、本人の了解が前提です。
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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者
公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。