2025.01.31

【税務調査】相続税調査の「簡易な接触」が増加傾向にあります

今回のコラムは「相続税調査の簡易な接触」についてです。

国税庁が公表した2023事務年度(23年7月~24年6月)の「相続税の調査事績の概要」によると、「実地調査」と「簡易な接触」を合わせた調査件数は前年度比17.8%増の27,337件でした。

法人税や所得税の調査と同様に件数の変動が顕著なのが「簡易な接触」で、前年度比25.2%増、コロナ禍前の2018年度と比べると81.8%増となっています。

23年度の相続税の「実地調査」は8,556件で、前年度の8,196件から4.4%増となりました。

文書や電話、来署依頼などに基づき納税者と接触を図る「簡易な接触」は18,781件で前年度の15,004件から25.2%増え、実地調査の伸び率を大幅に上回りました。

コロナ禍前の2018年度の事績と比べると、調査手法が様変わりしている実態がみてとれます。

2018年度の「実地調査」は12,463件だったため、2023年度の件数はそれよりも31.3%減少しています。

その一方で「簡易な接触」は2018年度の10,332件と比べ8割以上増加している状況です。

2018年度当時は実地調査の件数が、簡易な接触の件数を上回っていたわけです。

2023年度は実地調査の件数に比べ、2.2倍もの簡易な接触が実施されている状況で、国税当局の〝武器〟として完全に定着したことがうかがえます。

18,781件の簡易な接触によって、申告漏れなどの非違が5,079件発覚しています。
申告漏れ課税価額は954億円、追徴税額は122億円で、いずれも簡易な接触の事績の公表をはじめた2016年度以降で最高額となっています。

河鍋 優寛

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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