今回のコラムは「国税庁の租税滞納への取り組み」についてです。
国税庁は、同庁ホームページにおいて2023年度租税滞納状況(2024年3月までの1年間)を公表しておりますが、それによりますと、2024年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が2020年度から4年連続で増加したことが明らかになりました。
この要因として、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が前年度比20.7%増と大きく増加したことなどがあり、新規発生滞納額は前年度に比べて11.1%増の7,997億円と2年ぶりに増加しました。
2023(令和5)年度はインボイス制度が始まった年。
この影響も大きいんだろうね。
また、整理済額は7,670億円(前年度比8.0%増)と新規発生滞納額を下回ったため、2024年3月末時点での滞納残高は3.7%増の9,276億円と4年連続で増加しました。
ただし、2023年度に発生した新規滞納額は、最多の1992年度(1兆8,903億円)の約42%まで減少しており、2023年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額)は前年度から横ばいの1.0%で推移しております。
滞納発生割合は、2020年度は過去最低の0.9%、2023年度は1.0%で推移した結果、滞納残高はピークである1998年度(2兆8,149億円)の約33%まで減少しました。
税目別にみてみますと、消費税は新規発生滞納額が前年度比20.7%増の4,383億円と2年ぶりに増加し、税目別では19年連続で最多で、全体の約55%を占めました一方、整理済額が4,212億円と下回ったため、滞納残高は5.0%増の3,580億円と2年ぶりに増加しました。
なお、国税庁では、下記において、租税滞納を効果的・効率的に処理しております。
- 新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理
- 処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理
- 財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理
しかし、上記の厳正・的確な滞納整理を実施にかかわらず、滞納残高は4年連続で増加しており、今後の動向が注目されます。
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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者
公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
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