
今回のコラムは「退職代行サービス」についてです。
(株)日本ビジネスプランの記事をご紹介します。
退職代行サービスを利用する人が増えています。
こちらは文字通り、退職を代行するビジネスで、退職希望者から依頼を受け、会社に退職の意思を伝えるサービスを提供しています。
通常、退職をする時は、自分で上司に退職の意思を伝え、退職願を提出、業務の引き継ぎなどを行うのが一般的です。
退職代行サービスを利用すると、会社への連絡は代行サービスが実施。
加えて、会社に対して、本人や家族への連絡は控えるよう伝えることも可能です。
備品の返却や必要書類などは郵送で済ませるので、退職者は上司と顔を合わせることもなく、挨拶すらせずに退職できます。
就職サイトのインターネット調査では、2024年1~6月、退職代行を利用して会社を辞めた人がいた企業は23.2%あり、2021年から6.9ポイント増えました。
また、東京都内にある退職代行サービス企業によると、同社では、2024年の利用者が約16,000人と前年の3.7倍に増えたといいます。
利用の背景には、退職に際するトラブルが1つとして挙げられます。
出社を強要される、退職に関する必要書類を交付しない、自宅や親へ連絡するなど、実際にトラブルが生じたケースも見受けられます。
その一方で、上司がとても良い人で退職を言い出しにくい、といったことも利用した理由に挙げる人もいます。
中でも、人手不足の今日、出社の強要や引き留めが退職代行サービスを利用する第一の要因になっています。
先の就職サイトの調査では、利用した理由は「退職を引き留められた、または引き留められそうだ」が40.7%と最も多かったといいます。
退職代行サービスは他の先進国にはなく、日本特有のサービスです。
辞めたくても引き留められると断れない。
自分の意志を貫けない。
相手の意見に流されてしまう。
退職代行サービスは日本特有の風土だからこそ生まれたサービスといえます。
就職サイトのインターネット調査によると、利用者の8割超が20~30代だといいます。
終身雇用が当たり前だった時代は、入社したら嫌なことがあっても我慢して働くといった考えが主流でした。
ところが、今日では、退職を申し出たときに、引き留められたり、出社の強要をされたりなど、面倒で嫌なことは避けたい。
退職代行サービスの台頭は従来の仕事の常識がZ世代の若者には通用しなくなったことの表れともいえます。
退職代行サービスの台頭でますます退職しやすくなった今日。
ただ、こうした変化はマイナスばかりではありません。
従来の我慢を強要する環境では、企業は働く環境を改善する必要がさほどありませんでした。
結果、苦労して採用した若手が早期に退職することに繋がっています。
企業の中にはこの事態に直面し、若手がやめない工夫をするところも出始めています。
ある電子部品大手企業では、エンジニア向けの相談窓口を開発拠点に設置しました。
ベテランエンジニアが対面やメール、電話で社員の相談に乗ります。
また、新卒のサービス利用者の退職理由で多いのが「入社前に伝えられていた勤務条件や社風と実態が乖離している」といったことが挙げられます。
ある化学メーカーでは、内定時点で職種や配属先、勤務地を伝える活動を始めました。
内定者が自身の仕事を理解した上で入社することで、早期離職や内定後の辞退を防ぐ狙いです。
企業は労働環境を整え、若手が残りたいと思える会社にならないと生き残れない時代になりつつあります。
働きやすい職場が増えることで、社会全体がよりよくなる。
こうした好循環に入れるかどうか、今、日本社会は分岐点にいるといえます。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。