2025.06.17

【貸倒処理】取引先の倒産リスクで会社を守る備えと税務

今回のコラムは「取引先の倒産リスク」についてです。

リスク対応の基本とは?

世界経済の不確実性が音を立てて迫っているような現状で、企業防衛の観点からどのように対策していくべきか、経営者ならずとも多くの人の関心事ではないでしょうか。

そこで、ご存じの方も多いでしょうが、 リスクマネジメントの観点からリスク対応の基礎知識について整理してみましょう。

一般的なリスク対応の方法としては、「リスク回避」、「リスク低減」、「リスク移転」、「リスク保有」の4類型があると言われています。

例えば、取引先の倒産に備えた会社の経理としては「貸倒引当金」を設定するなどして、あらかじめ売掛金等の債権回収不能リスクを自社で保有する「リスク保有」があります。

その他、取引信用保険などの保険を活用することで、売上債権が回収不能となった場合には、保険金で補填することで、自社の回収不能リスクを保険会社に負ってもらう「リスク移転」で対応することも考えられます。

もちろん、取引先の支払能力に問題がないのかなどの与信管理を行うことは、「リスク回避」「リスク低減」に繋がります。

このように、取引先の倒産に備えるということに関して、様々な方法で対応することが可能です。

税務上の取扱いはどうなる?

貸倒れが発生した場合の税務上の処理は、回収不能となった金額を損金として処理します。

つまり、会社の経費として売上から差し引くことができるということです。

ただし、回収不能がどういう原因で発生したのか条件を確認する必要があります。

一つは「法的整理による貸倒れ」いわゆる取引先の破産、民事再生、会社更生などの法的整理手続きが開始された場合、法的整理で切り捨てられた債権分が貸倒損失として処理できます。

もう一つは、取引先の夜逃げなど法的整理がされていない場合には、実質的に回収不能であることが明らかな場合などに、その額を貸倒損失として処理することが可能です。

さて、このような場合の消費税の税務処理はどうでしょう。

売上に係る消費税は発生していますので、この売上債権が貸倒れた場合に消費税を負担することになるのかというと、「貸倒れに係る消費税の控除」として仕入れ税額控除同様に控除が認められていますので、下地の知識として押さえておきたいですね。

河鍋 優寛

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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