
今回のコラムは「中小企業向け資金繰り支援の全体像」についてです。
新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に薄れる中で、中小企業の資金繰り支援策は新たな局面を迎えています。
2025年2月以降これまで中心だったコロナ対応型の支援策は段階的に終了し、より幅広い課題に対応できる支援策へと拡充・移行が進められます。
目次(各項目に飛べます)
政府系金融機関の全体像
中小企業の資金調達を支える政府系金融機関では、コロナ禍に対応した特別貸付や資本性劣後ローンが順次終了し、より長期的な視点に立った支援策へとシフトしています。
① 危機対応後経営安定貸付を新たに設置
2024年12月末で終了した日本政策金融公庫等のコロナ特別貸付に代わり、新たに「危機対応後経営安定貸付」が創設されました。
限度額は20億円、貸付期間は最大20年と長期にわたる資金調達を可能にします。
② 通常時の資本性劣後ローンの拡充
日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンは2025年2月末まで延長され、その後は通常時の資本性劣後ローンを拡充して実施されます。
今回の拡充では省力化投資に取り組む事業者が対象に追加され、適用利率の見直しや限度額が10億円から15億円へ拡充されます。
③ 日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付
原油価格や資材費等の高騰により利益率が減少した中小企業を支援する、日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付は2024年12月末終了予定でしたが、2025年3月末まで延長されることになりました。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/support/shikinguri.pdf
民間金融機関(信用保証制度)の全体像
民間金融機関による融資を円滑にする信用保証制度も2025年2月以降、新たな展開を迎えます。
① 経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)
経営改善サポート保証(コロナ対応)は2025年3月末まで延長され、その後は経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)が実施されます。
これは経営改善・再生計画を策定した中小企業を支援するもので、100%保証は100%保証で借換が可能、保証料は0.3%、上限2.8億円、保証期間は15年となっています。
② 協調支援型特別保証を新設
2025年3月中旬には協調支援型特別保証が新たに設けられる予定です。
これは、人手不足に対応する省力化投資など多岐にわたる経営課題に対応した資金繰りを支援するもので80%保証、保証料引下げ、上限2.8億円、保証期間10年という内容です。
2025年2月以降の中小企業向け資金繰り支援は、コロナ対応型から事業の成長と持続可能性を重視した支援へと大きく転換します。
中小企業はこれらの新たな支援策を積極的に活用し、経営基盤の強化や事業の成長を目指しましょう。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。