2025.02.21

【人材育成】中小企業における人材の育成

今回のコラムは「中小企業における人材の育成」についてです。

中小企業において対応する優先度が高い経営課題の一つに、人材の育成があげられます。

中小企業庁編「中小企業白書2024年版」では、中小企業を対象としたアンケートに基づいて中小企業における人材育成の動向と効果について分析しています。

まず、人材育成の取組の増減についてみると、約半数の企業が「変わらない」と回答している一方、「大いに増やした」、「やや増やした」と回答した割合の合計は4割超となっています。

また、増やした人材育成の取組内容について見ると、「主にOJT」と「OJTを中心に一部OFF-JT」と回答した割合の合計は 7割程度となっており、OJTを中心に育成を強化していることがわかります。

次に、人材育成に取組む上での課題について回答割合の高い順にみると、「指導する人材の不足(53.3%)」、「育成にかける時間がない(39.5%)」、「育成しても離職してしまう(25.6%)」となっており、人材育成の場面においても人手不足の影響が及んでいる様子が見て取れます。

人材育成の取組の増減別に売上高及び労働生産性の変化率をみると、人材育成の取組を「増やした」企業では売上高及び労働生産性がともに増加している傾向にあることから、人材育成の取組は、業績の向上につながる可能性があることがわかります。

また、人材育成の取組の増減別に人材の定着状況についてみると、人材育成の取組を「増やした」企業では、中核人材、業務人材共に定着している傾向にあることがわかります。  

このことから、中小企業における人材育成の取組は業績の向上や人材の定着につながっている可能性があることが見て取れるのです。

では、中小企業における人材の育成において具体的にどのような取組が行われているのでしょうか。

そこで、中小企業庁編「中小企業白書2024年版」において、技術力向上と自主性を育てる人材育成によって技術力を継承、発展させている企業の事例として紹介された株式会社九州電化(本社所在地:福岡県福岡市)の取組についてみていきましょう。

株式会社九州電化は、1960 年創業のめっき加工を手掛ける企業で、技術力を強みに同業他社では対応できない特殊な加工を数多く手掛けてきました。

同社では高度な技術力を継承し、発展させていくことが将来に向けた命題と考え、その解決に向けた様々な人材育成の取組を行っています。

入社した社員がまず受ける「めっき道場」での訓練では、約40工程のめっき処理をあえて手作業で経験させることで基礎的な技術と知識の習得を行います。

また、国家資格である「電気めっき技能士」の取得に向けては、先輩社員によるOJT指導に加え、社外で提供されている育成講座や講習会等への参加を推奨しています。

さらに、e-ラーニングで自習可能とする動画を作成・導入したところ、積極的に自己啓発に励む社員が増え、多くの社員が資格を取得しています。

こうした社員の技術力向上とモチベーションアップを目指した取組は、パワー半導体、繊維強化プラスチック製品、航空・宇宙など、取引先からの案件相談をきっかけとした新たな先端分野の技術開発に携わることによる同社の技術力の発展にもつながっています。

このように人材育成の取組によって主体性を持った社員が増えて仕事に前向きに取組む社内の雰気づくりができていることが、技術力の進化につながっているのです。

河鍋 優寛

弊事務所では1人1人のお客様に真摯に寄り添い、満足度の高い相続税申告やコンサルティングを実施しております。
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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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