本日のコラムは「帰属所得と財産分与」についてです。
2023年の共働き世帯数は、専業主婦世帯数の3倍近くになり、家事・育児は夫婦で共に担う時代になりました。
一方、平成初期まで専業主婦の世帯数の方が多く、配偶者の内助の功で家庭が運営されていました。
目次(各項目に飛べます)
帰属所得は課税されない
配偶者が家庭内で家事育児を行うと、その役務提供には経済的価値が生まれます。
これを「帰属所得」といいます。
しかし、家事育児労働に対価が支払われることはなく、課税もされません。
これは家庭内の労務報酬の算定が実際には困難であることによります。
家事の時間は年中無休だし、家事を時給に換算したら…
というのも話題になったよね!
また、所得税は一人ひとりに課税されるのですが、家計を消費単位として見た場合、帰属所得は家計に包含されてしまうので、課税しないという見方をしているのかもしれません。
財産分与で2分の1を清算
離婚すると財産分与が行われます。
婚姻中、各人の給与や事業などから得た財産と共有名義の財産、帰属不明の財産は共有財産となり、その2分の1が夫婦間で清算されます。
給与や事業収入などで得た財産は、婚姻中は各人の特有財産なのですが、離婚すると夫婦の協力により得られた共有財産として財産分与されます。
将来、受け取る厚生年金も、婚姻期間に対応する年金額の2分の1は財産分与の対象となります。
財産分与に対する贈与課税
財産分与は資産の贈与ですが、贈与課税はされません。
これは婚姻中に生じた財産分与請求権が離婚時に行使され、同等の価値の財産を得るためとされています。
ただし、分与額が多すぎる部分や相続税の回避と認められる場合は贈与課税されますので注意しましょう。
また、財産分与者は財産分与義務が消滅して得られる利益と財産分与により失う財産の価値が見合うため、課税されません。
不動産など譲渡所得の基因となる資産が移転する場合は、財産分与時に実現する譲渡所得に課税されますので、こちらも注意しましょう。
死亡すると相続財産に変わる
夫婦が死別すると財産は遺贈されたものを除いて相続財産となり、配偶者はその法定相続分を取得できます。
ここでは財産分与のときの共有財産は認識されず、相続財産になっています。
ただし、配偶者には相続税の税額軽減が適用され、老後の生活保障に一定の配慮がされています。
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福岡県那珂川市・春日市の公認会計士・税理士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者
公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。