
今回のコラムは「国税不服審判所の裁決事例」についてです。
国税不服審判所では、同審判所HP上において、「公表裁決事例要旨」及び「公表裁決事例」を随時公表しております。
公表裁決事例集 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所
その中で、保険金を支払通知日の属する事業年度の収益に計上した請求人の会計処理を正当と判断した法人税法関係の事例が挙がっております。
それによりますと、裁決は2021年1月1日から同年12月31日までの事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分及び2021年1月1日から同年12月31日までの課税事業年度の地方法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分の全てを全部取消しています。
この事例は、審査請求人が受領した死亡保険金について、原処分庁が、被保険者の死亡日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであるとして法人税等の更正処分等をしたのに対し、請求人がその死亡保険金は保険会社からの支払通知日の属する事業年度の益金の額に算入すべきであり、請求人の処理は是認されるなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案です。
原処分庁は、請求人の前代表者を被保険者とした生命保険契約において、前代表者の死因は保険契約に係る保険金の支払事由に該当し、免責事由のいずれにも該当しないことからすると、請求人は、前代表者の死亡日において、保険金に係る保険金請求権の実現可能性を客観的に認識でき、その行使が可能となったといえるから、請求人が受領した死亡保険金の額は、前代表者の死亡日の属する事業年度の益金の額に算入すべきである旨を主張しました。
しかし裁決では、保険金は保険会社の確認調査等の結果次第では支払われないこともあり得たことや、請求人が恣意的に保険金の額の収益計上時期を繰り延べようと企図した事実は認められないことを踏まえれば、保険金の額を支払通知日の属する事業年度の雑収入に計上した請求人の会計処理は、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上の基準に則したものであり、法人税法上も正当なものとして是認すべきと認められると判断しております。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
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