
今回のコラムは「キャリアアップ助成金の2025年4月以降の変更点」についてです。
企業における人材育成と社員の定着は、持続的な成長を実現するための重要な要素です。
特に非正規雇用労働者のキャリアアップは労働者の意欲向上と企業全体の生産性向上に不可欠であり、そのための支援策「キャリアアップ助成金」は多くの事業主に活用されています。
2025年4月以降キャリアアップ助成金の内容が一部変更されることとなりましたので、概要を説明します。
目次(各項目に飛べます)
キャリアアップ助成金とは
非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員転換や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。
キャリアアップ助成金の種類
正社員化支援
有期雇用や無期雇用労働者を正社員化した場合等に助成されます。
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
処遇改善支援
・賃金規定等改定コース
有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定した場合に助成
・賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等と正社員の賃金規定等を共通化した場合に助成
・賞与退職金制度導入コース
有期雇用労働者等を対象とした賞与または退職金制度を新たに導入した場合に助成
・社会保険適用時処遇改善コース
有期雇用労働者等を新たに社会保険に適用させかつ賃上げを実施した場合に助成
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
2025年4月以降の変更点
今回の制度改正では、正社員化コースと賃金規定等改定コースにおいて助成金額や要件が変更されています。
また、各コースに共通する手続きについても簡素化が図られます。
正社員化コース
正社員化コースにおける主な変更点は、助成金額の見直しと新たに「重点支援対象者」という区分が設けられることです。
※カッコ内は大企業の場合の助成額です
(1)現在
有期→正規80万円(60万円)
無期→正規40万円(30万円)
(2)変更後
【重点支援対象者】
有期→正規80万円(60万円)
無期→正規40万円(30万円)
【重点支援対象者以外】
有期→正規40万円(30万円)
無期→正規20万円(15万円)
賃金規定等改定コース
支給区分を2区分から4区分と増やし、助成額が拡充。
さらに新たな加算措置が設けられます。
(1)現在(賃金引き上げ区分、1人当たり助成額)
3%以上5%未満→5万円(3.3万円)
5%以上→6.5万円(4.3万円)
(2)変更後
3%以上4%未満→4万円(2.6万円)
4%以上5%未満→5万円(3.3万円)
5%以上6%未満→6.5万円(4.3万円)
6%以上→7万円(4.6万円)
(3)加算措置の新設
有期雇用労働者等の昇給制度を新たに設けた場合、1事業所当たり1回のみ20万円(15万円)を加算します。
各コース共通(キャリアアップ計画書の取り扱いを簡素化)
キャリアアップ計画書については、各コースの取り組み実施日の前日までに管轄の労働局長に提出し認定を受ける必要がありましたが、届出のみでよいことになりました。
まとめ
担当者の皆様は今回の変更点を十分に理解し、自社の経営戦略や人材育成計画にどのように組み込むかを検討することが重要です。
2025年4月以降の新たなキャリアアップ助成金を活用し、持続的な企業成長と従業員のキャリア形成の
両立を目指しましょう。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。