
今回のコラムは「令和5事務年度における租税条約等に基づく情報交換事績概要」についてです。
国税庁は、令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月までの1年間)における租税条約等に基づく情報交換事績の概要を公表しました。
租税条約等に基づく情報交換には、「自動的情報交換」、「自発的情報交換」「要請に基づく情報交換」の3つの類型があり、今回で6回目となる金融口座情報(以下、CRS情報)の「自動的情報交換」では、日本の居住者に係る金融口座情報245万5,288件(前事務年度は252万6,181件)、口座残高14兆2,000億円を93カ国・地域の外国税務当局から受領した一方、日本の非居住者に係る金融口座情報51万782件(同:53万2,037件)、口座残高5兆6,000億円を国税庁から80カ国・地域に提供しました。
なお、受領したCRS情報及び要請に基づく情報交換の活⽤例として、次の内容が紹介されております。
受領したCRS情報から、法人役員AがX国にある銀⾏⼝座に多額の預⾦を保有しながらも国外財産調書を提出せず、確定申告にも当該預⾦に関する利⼦等の所得を反映していない事実を把握したため、調査に着手しました。
法人役員Aは、調査においても国外に預⾦を保有する事実を認めなかったことから、事実確認のためにX国の税務当局に対して、当該預⾦⼝座の運用状況等に関する情報提供の要請を行い、関連する情報を入手しました。
受領した情報を基に調査対象者を追及したところ、実際には当該⼝座の運用によって多額の利益が発⽣していたものの、この所得について確定申告を⾏っていなかったことを認め、さらに預⾦の一部について親族に贈与していた事実が確認されたため、当該親族に贈与税が課されました。
また、CbCR(Country by Country Report:国別報告書)の交換では、外国に最終親会社等がある2,315グループのCbCRを58カ国・地域の外国税務当局から受領し、日本に最終親会社等がある927グループのCbCRを国税庁から68カ国・地域に提供しました。
さらに法定調書により把握した非居住者等への支払についての情報13万483件を外国税務当局から受領した一方、75万646件を外国税務当局に提供しました。
今後の動向に注目です。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。