
今回のコラムは「令和5年度決算検査報告」についてです。
会計検査院は、令和5年度決算検査報告を公表しました。
それによりますと、税金の無駄遣いや改善を求める指摘件数は345件、指摘金額は648億6,218万円あり、そのうち、法律や政令などに違反した悪質な「不当事項」は294件、同77億3,686万円ありました。
財務省への検査では、沖縄地区税関および65税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等の誤りを見過ごし、法令等の適用の検討が十分でなく、または課税資料の収集および活用が的確でなかったため、納税者133人から租税を徴収するに当たり、徴収額が137事項3億3,602万184円(平成29年度から令和5年度まで)不足しており、不当であると認められました。
なお、これらの徴収不足額については、会計検査院の指摘により、すべて徴収決定の措置が執られております。
また、法人税について徴収不足になっていた52事項の内訳は、法人税額の特別控除に関する事態が37事項、交際費などの損金不算入に関する事態が6事項、その他に関する事態が9事項ありました。
事例として、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除の規定の適用を誤っていた事例が挙がっております。
それによりますと、B会社は、令和3年11月から令和4年10月までの事業年度分の申告に当たり、雇用者給与等支給額3億7,226万6,362円が、比較雇用者給与等支給額3億5,334万5,684円を上回るなどとして、雇用者給与等支給増加額1,892万678円の100分の15相当額283万8,101円を法人税額から控除しておりました。
しかし、B会社の当該事業年度分及び前事業年度分の申告書に添付された人件費の内訳書等によりますと、正しい雇用者給与等支給額及び比較雇用者給与等支給額は、それぞれ3億6,683万9,640円および3億7,226万6,362円でした。
そのため、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額の金額を上回っていないことから法人税額の特別控除の規定の適用はできず、誤って法人税額の特別控除を適用しているのにもかかわらず、これを見過ごしたため、法人税額283万8,101円が徴収不足になりました。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
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