2025.01.27

【水道水】水道水の安全性に影を落とすPFASとは

今回のコラムは「水道水の安全性」についてです。

水質の管理強化が求められています。

2020年度から23年度にかけ、水道事業者が実施した水質検査の結果、PFAS(ピーファス)の値が国の暫定目標値を上回った地域が全国14カ所もあったからです。

目標値を超えた地域は、2022年度は4カ所、2023年度は3カ所と減少傾向にあるものの、岐阜県や岡山県の中には、4年連続で目標値を上回った地域も報告されています。

問題の地域では、水源の変更や活性炭による浄化システムの稼働、活性炭の入れ替えなどの対応工事を実施した結果、2024年度については9月末時点で、暫定目標値を上回る水道事業者はありませんでした。

ただ、放置すると再発の可能性も否定できません。

現在、環境省は暫定目標値の位置づけや数値を見直す検討をしています。

PFASは健康への悪影響が指摘されているため、環境省は2020年、PFOSとPFOAについて、水道水1リットルあたり計50ナノグラムとする暫定目標値を設定しました。

これは、体重50キロの人が生涯毎日2リットルの水を飲んだとしても、健康に悪影響が生じないと考えられる水準とされています。

その中、暫定目標値を上回った地域が報告され問題となったのです。

PFASというのは“Per- and Poly Fluoro Alkyl Substances”の頭文字を取った略称で、有機フッ素化合物の一つをいいます。

実際は一万種類以上もあり、代表的なものにPFOA(ピーフォア、ペルフルオロオクタン酸:Per Fluoro Octanoic Acid)とPFOS(ピーフォス、ペルフルオロオクタンスルホン酸:Per Fluoro Octane Sulfonic acid)があります。

かつて、フライパンや撥水スプレー等の身の回りの製品に使用されていました。

ただ、フライパンのフッ素樹脂については、企業の自主的な取組みにより、使用が廃止されました。

また、あるファストフード企業では、2025年末までに全世界の包装資材にPFASの使用を廃止すると宣言しています。

こうした流れはほかのファストフードチェーンやコンビニにも広がり、PFASを含まない素材に変更するよう取組みが進んでいます。

メーカーもPFASを使わない耐油紙や樹脂素材の開発を進めており、対策が進んでいます。

PFASが問題なのは、健康への悪影響が指摘されている点にあります。

2023年、国際がん研究機関(IARC)はPFOAを4段階のうち最も高い「発がん性がある」に分類しました。

これはたばこやアスベストと同じ扱いです。

PFOSは下から2番目の「発がん性がある可能性がある」とされましたが、まだ、わからないことが多く、健康への影響については調査や研究が進められているのが現状です。

PFASの問題点は残留性にあります。

ほとんどが分解されずに自然界に蓄積されるため、「永遠の化学物質」と呼ばれてもいます。

そして、2009年以降、健康影響の懸念から国際的に規制が進むようになります。

現在では、日本を含む多くの国で製造・輸入等が禁止されています。

日本の場合、国内で新たにPFASが製造されることは原則ありません。

ただ、分解されにくいため、今も環境中に残っており、これが問題を引き起こしているとみられています。

実は、海外には、水道水をそのまま飲むのではなく、ミネラルウォーターの購入が好ましい国が多くあります。

日本のように水道水をそのまま飲める国のほうが少ないのです。

美味しく安全な水を飲める。

そんな日本の誇りがこの先も続くよう、政府などの対応を見守りたいところです。

カワセミ

あれ、よく水道水飲んでるよね?

河鍋 優寛

ミネラルウォーターは家族が飲んで、私は好んで水道水を飲んでます。

すごく美味しいですよ。安全な水を飲めることに感謝ですね。

河鍋 優寛

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。

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