
今回のコラムは「経営改善計画策定支援」についてです。
多くの中小企業・小規模事業者は新型コロナウイルスの影響など環境変化の中で、借入金の返済負担といった財務上の課題に直面しています。
自社単独でこれらの問題を解決し、経営を改善していくことは容易ではありません。
そのような状況において国が提供する「経営改善計画策定支援事業」は専門家の知見を活用し、企業の持続的な成長を後押しする非常に有効な手段の1つとして注目されています。
目次(各項目に飛べます)
経営改善計画の策定支援とは
「中小企業経営力強化支援法」に基づき、国から認定を受けた経営革新等支援機関が中小企業・小規模事業者の依頼に応じ経営改善計画などの策定支援を実施することで、事業再生や円滑な廃業を含めた経営改善を促進する公的な事業です。
対象者
借入金の返済など財務上の問題を抱え、自ら経営改善計画を策定することが難しい状況にあるほか、場合によっては金融機関との関係構築が不十分で経営改善が進まない中小企業・小規模事業者
支援内容
国が認定する士業等専門家の支援を受けて経営改善計画を策定する場合、専門家に対する支払費用の3分の2(通常枠:上限300万円、中小版GL枠:上限700万円)を中小企業活性化協議会が支援します。
経営改善計画策定のメリット
① 客観的な経営状況の把握
専門家のアドバイスを受けながら自社の経営課題を発見し、具体的な改善策を練ることができます。
② 金融支援の円滑化
計画を提出することで金融機関からの信頼が高まり、返済条件の変更や新規融資の交渉がしやすくなります。
③ 専門家によるアドバイス
認定経営革新等支援機関の専門家から計画策定時だけでなく、実行後も継続的なサポートを受けられます。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/saisei/05.html
経営改善計画策定支援の流れ
本支援事業を活用して経営改善を進めるプロセスはいくつかのステップを経て進行します。
① 事前相談
まずはメインバンクなどの金融機関に現状を相談するところから始まります。
② 利用申込み
中小企業活性化協議会に対して本支援事業の利用を正式に申し込みます。
③ 計画策定を支援
認定経営革新等支援機関(税理士など)が選定され、企業の特性に応じた経営改善計画の策定を支援します。
④ 計画提出
策定された経営改善計画は支援を依頼する金融機関に対して提出されます。
⑤ 策定費用を支援
計画策定完了後、中小企業活性化協議会から専門家に対する費用の一部が支援されます。
⑥ 伴走支援
計画提出後も認定経営革新等支援機関による継続的なモニタリングやアドバイス(伴走支援)が実施されます。
経営改善計画策定支援事業は財務上の困難を抱える中小企業・小規模事業者が専門家の力を借りて事業再生・改善を図るための強力な公的サポートです。
客観的な現状把握、金融支援の円滑化、そして継続的な専門家によるサポートという多岐にわたるメリットは企業の持続的な発展に不可欠な要素といえるでしょう。
まとめ
経営課題に直面し新たな一歩を踏み出したいとお考えの経営者の皆様はこの制度を積極的に活用し、自社の未来を切り拓いていくことをお勧めいたします。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。