
今回のコラムは、最新の税務情報や税制改正項目のうち、経営者に重要なトピックについてご紹介します。
目次(各項目に飛べます)
「非上場株式の評価」の議論の方向性は?
4月30日、国税庁は「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第1回の「議事要旨」を公表しました。
前回は、いわゆる非上場株式の評価方法が「租税回避スキーム」に使われていることが問題になっているとご紹介しました。
今回は議事要旨が公表され、次のような意見が出ていることがわかりました。
・類似業種比準方式における企業規模等の外形基準は、様々な企業実態に合わせて評価を行う方が公平となるとの想定のもとに設けられたものと考えるが、それがかえって、評価額圧縮スキームに悪用されて、現状のこの不公平な実態に至っている。
・スキームが使われる根本的な原因は、現在の評価方法による純資産価額が高すぎるためではないか。
・このまま租税回避スキームを野放しにすることは良くないと思うが、スキームへ対応をすることによって、今まで真面目に企業経営を営んでこられた人たちが困るのも問題であり、その視点は持っておくべき。
5月11日の第2回目では、大学教授、M&A会社役員から非上場株式の評価についてヒアリングを行っています。
どのような形で非上場株式の評価が見直されるのかは今のところわかりませんが、例えば、
・スキームで利用される類似業種比準価額:引上げ
・高すぎる純資産価額:引下げ
とセットで行うことも考えられます。
6月以降も、引き続き、注視したいところです。
▼詳しくはこちらから
【PDF】国税庁
「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第1回 議事要旨
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260420/pdf/01giji_kabukaigi.pdf
第2回 資料
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260511/pdf/02shiryo_kabukaigi.pdf
国税庁が「法人税関連の改正項目」を解説
5月27日、国税庁は法人税関連の主な改正項目の説明資料として、「令和8年度法人税関係法令の改正の概要」を公表しました。
【目次】
1 特定生産性向上設備等投資促進税制の創設
2 研究開発税制の見直し
3 賃上げ促進税制の見直し
4 主な中小企業税制の見直し
5 グローバル・ミニマム課税への対応
6 その他主な改正項目
1番目のいわゆる「大胆な設備投資減税」では、中小企業も「5億円以上」の設備投資は対象です。
また、4番目の「中小企業税制の見直し」では、「中小企業者等の少額減価償却資産の特例」について、30万円未満から「40万円未満」になったことが図入りで説明されています。
切り替えのタイミングとして、事業年度にかかわらず、「取得等の日」が
・令和8年3月31日まで:30万円未満
・令和8年4月1日以後:40万円未満
で異なるため、ご注意ください。
▼詳しくはこちらから
国税庁「令和8年度法人税関係法令の改正の概要」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2026/01.htm
給付付き税額控除は「給付に一本化」へ
5月27日、社会保障国民会議の「給付付き税額控除等に関する実務者会議」は「給付付き税額控除のイメージ」を公表しました。
これまで給付付き税額控除の制度設計についてヒアリングや議論を重ねてきましたが、6月の「中間とりまとめ」に向けて、制度のイメージが明らかになりました。
特に最近あった「定額減税・給付金」の事務負担が企業・自治体ともに大きかったことを踏まえ、制度導入時は「給付に一本化」されました。
資料の中でも、「減税と給付を組み合わせることや、見込みと確定の二段階で給付を行う仕組みとはしない」と明記されています。
また、「子育て世帯」には給付額を上乗せする方針も示されています。
▼詳しくはこちらから
内閣官房 社会保障国民会議「給付付き税額控除等に関する実務者会議(第12回)」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260527/index.html
まとめ
給付付き税額控除の議論は、「税額控除」という名前にとらわれず、事務負担に配慮した形で「給付金」に一本化されることとなりました。
そのため、企業側としては、定額減税時の年末調整のような混乱は避けられると思われます。
一方、あわせて議論されている「消費税減税」についても制度設計が決まりそうです。
現時点では飲食料品の消費税率をゼロではなく「1%」とする案が有力視されています。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。