
今回のコラムは「人材確保等支援助成金」についてです。
近年、多くの企業で人手不足が深刻化するなか、外国人労働者の活躍がますます重要になっています。
一方で、言語や文化、労働慣行の違いから、職場でのコミュニケーション不足や労務トラブルが発生するケースも少なくありません。
そこで今回は、外国人労働者が安心して働ける職場づくりを支援する人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)について、制度の概要や受給要件、助成額などを解説します。
目次(各項目に飛べます)
外国人労働者就労環境整備助成コースとは
外国人労働者は、日本の労働法や雇用慣行に関する知識が十分でない場合があり、さらに言語の違いもあることから労働条件や退職、解雇などに関するトラブルが発生しやすい傾向があります。
こうした課題を解決するために設けられているのが「外国人労働者就労環境整備助成コース」です。
この助成金は、外国人労働者が安心して働き続けられる環境を整備し、職場への定着促進に取り組む事業主を支援する制度です。
就業規則の多言語化や相談体制の整備など、外国人労働者特有の事情に配慮した取り組みを実施した事業主に対して助成が行われます。
単に外国人を雇用するだけではなく「働きやすい環境づくり」に積極的に取り組む企業を後押しする制度として注目されています。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html
主な受給要件
助成金を受給するためには、以下の要件を満たす必要があります。
(1)外国人労働者を雇用している事業主であること
まず前提として、外国人労働者を雇用している事業主であることが必要です。
(2)認定を受けた就労環境整備計画に基づき就労環境整備措置を新たに導入・実施すること
事前に「就労環境整備計画」を作成し、認定を受けたうえで以下の措置を実施する必要があります。
必須となる措置は次の2つです。
1.雇用労務責任者の選任
2.就業規則等の多言語化
さらに、以下の3つのうちいずれか1つ以上を選択して実施します。
3.苦情・相談体制の整備
4.一時帰国のための休暇制度の整備
5.社内マニュアル・標識類等の多言語化
例えば、外国人従業員が母国語で相談できる窓口を設置したり、社内掲示やマニュアルを多言語対応にしたりすることで、職場での不安や誤解を減らし、安心して働ける環境づくりにつながります。
(3)外国人労働者の離職率が15%以下であること
就労環境整備計画期間が終了した後、一定期間経過時点での外国人労働者の離職率が15%以下であることも要件となります。
つまり、制度を導入しただけではなく、その結果として外国人労働者の定着につながっていることが求められています。
受給額
受給要件をすべて満たした場合、導入した制度1つにつき20万円が支給されます。
支給上限は80万円となっており、複数の取り組みを実施することで助成額を増やすことが可能です。
また、事業主が外部の専門家や機関へ業務を委託した場合には、支払いが完了した以下の費用が支給対象経費として認められる場合があります。
主な対象経費
・通訳費
・翻訳機器導入費(雇用労務責任者と外国人労働者との面談に必要なもの)
・翻訳料
・弁護士や社会保険労務士等への委託料
・多言語対応の社内標識類の設置・改修費
特に、外国人労働者向けの就業規則の翻訳や相談体制の構築を外部専門家へ依頼する企業にとっては、費用負担を軽減できる大きなメリットがあります。
まとめ
外国人労働者の採用が広がるなか、採用後の定着支援は企業にとって重要な課題となっています。
助成金を活用することで費用負担を抑えながら職場環境を改善できるため、外国人雇用を進めている、今後採用を検討している企業様は、ぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。