
今回のコラムは、最新の税務情報や税制改正項目のうち、経営者に重要なトピックについてご紹介します。
目次(各項目に飛べます)
非上場株式の評価に大胆な見直し案!
8月20日、国税庁は「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第5回の資料を公表しました。
今回、新しい評価方式のたたき台が明らかになりました。
新しい評価方式(案)
「残余利益方式(簿価純資産ベース)」
→貸借対照表の「純資産の部」の金額、つまり「簿価純資産価額」をベースに、過去数年分の超過収益力(当期純利益等)を加減算
保有する不動産などを「時価」に置き換える必要がないので簡便に計算でき、赤字または低収益の企業は簿価純資産額から減額される見込みです。
現行の3つの評価方式(案)
(1) 「類似業種比準価額方式」
→類似した上場会社の平均株価を使う方法は「廃止」の方向
(2) 「純資産価額方式」
→時価純資産価額をベースにした方法は原則的評価方式ではなく、「一部の会社」の評価方法として残す方向
(3) 「配当還元方式」
→少数株主を対象にした簡易な方法は「適用する株主の範囲」を整理するなど対象を狭める方向
また、問題となっていた「租税回避スキーム」への対応も資料では個別に示されています。
例えば「グループ法人税制」を利用した評価額の圧縮スキームでは、会社単独ではなく「グループ全体」で評価する案が示されています。
▼詳しくはこちらから
【PDF】国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)資料」
https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260820/pdf/05shiryo_kabukaigi.pdf
「給付付き税額控除」が閣議決定
8月5日、政府は「給付付き税額控除」について制度導入の基本方針を閣議決定しました。
このうち課題となっている「財源」は、「補助金・租税特別措置の見直し」などを例に挙げています。
令和9年度税制改正でも増税の見直しが想定されるため、こちらも動向に注目したいところです。
▼詳しくはこちらから
【PDF】内閣官房「『給付付き税額控除』の制度導入の基本方針」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260805/01_siryou1.pdf
【PDF】参考資料1
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260805/02_siryou2.pdf
【PDF】参考資料2
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260805/03_siryou3.pdf
(参考)自民党
「初の『消費税減税』へ総務会が全会一致で了承飲食料品の消費税『実質ゼロ』Q&A」
https://www.jimin.jp/news/information/213966.html
中小企業の親族内承継に関する検討会が「報告書(案)」を公表
8月5日、中小企業庁は「第6回中小企業の親族内承継に関する検討会配布資料」を公表しました。
今回は過去の議論を踏まえ、「報告書(案)」が提示されました。
事業承継税制の今後の見直しでは、議決権株式の分散防止による安定的な事業継続の確保という制度趣旨を維持しつつ、人口減少、人手不足、生産性向上や地域経済の維持といった環境変化を踏まえる必要がある、などの視点が盛り込まれています。
「令和9年度税制改正要望」にどのように反映されるか注目したいところです。
▼詳しくはこちらから
中小企業庁「第6回中小企業の親族内承継に関する検討会 配布資料」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shinzoku/006.html
まとめ
トピックス1で示したように、非上場株式の評価が大きく変わりそうです。
現時点のスケジュールでは、「令和10年以後の適用」が予想されています。
新しい方式により、株式の評価額が高くなったり、過去の株価対策が無効化される可能性もあります。
令和9年度税制改正で予定されている「新しい事業承継税制」の動向とあわせて改めて事業承継対策の検討が必要になりそうです。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。