
今回のコラムは「中小企業向け賃上げ促進税制」についてです。
昨今、物価高騰への対応や優秀な人材を確保する目的から従業員の賃上げを検討されている企業が増えています。
そこで今回は、賃上げを行った企業の税負担を直接軽減できる「賃上げ促進税制」について分かりやすく解説します。
制度の概要や手厚い税控除を受けるための要件を正しく把握し、ぜひ効果的な経営改善にお役立てください。
目次(各項目に飛べます)
中小企業向け賃上げ促進税制とは
中小企業向け「賃上げ促進税制」は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たしたうえで、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
税額控除率
本制度を利用すると、給与支給額の増加分に対して以下の割合で税控除を受けられます。
【中堅企業】
全雇用者の給与等支給額の増加額のうち、最大30%を税額控除
【中小企業】
全雇用者の給与等支給額の増加額のうち、最大35%を税額控除
適用期間
本制度の対象となる期間は以下のとおりです。
法人:令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度
個人事業主:令和9年(1月1日〜12月31日)の所得
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html
中小企業向け賃上げ促進税制の要件
具体的に要件を満たすための条件を、中堅企業と中小企業の区分ごとに詳しく確認していきましょう。
中堅企業
●適用対象
青色申告書を提出する従業員数2,000人以下の企業または個人事業主
●継続雇用者の給与等支給額(前年度比)と税額控除率
前年度比+4% → 税額控除率10%
前年度比+5% → 税額控除率15%
前年度比+6% → 税額控除率25%
★プラチナくるみん or えるぼし三段目以上
⇒税額控除率5%上乗せ
中小企業
●適用対象
青色申告書を提出する中小企業者等(資本金1億円以下の法人、農業協同組合等)または従業員数1,000人以下の個人事業主
●全雇用者の給与等支給額(前年度比)と税額控除率
前年度比+1.5% → 税額控除率15%
前年度比+2.5% → 税額控除率30%
★くるみん以上 or えるぼし二段目以上
⇒税額控除率5%上乗せ
中小企業は、賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額の5年間の繰越しが可能
※くるみん
厚生労働大臣が認定する「子育てサポート企業」
※えるぼし
厚生労働大臣が認定する「女性の活躍推進に関する取り組みや実績が優良な企業」
まとめ
賃上げ促進税制は、給与を引き上げる企業を後押しする非常に魅力的な優遇措置です。
さらに子育て支援や女性活躍の認定を取得すれば控除率が上乗せされるため、社内環境の整備も併せて進めると一層の効果が期待できます。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。