
企業を狙ったサイバー攻撃が増加するなか、中小企業にとっても情報漏えいやシステム停止への備えが重要になっています。
しかし、専門人材の不足や導入費用の負担から、十分な対策を講じられていない企業も少なくありません。
そこで今回は、セキュリティ対策に必要な費用を支援する「デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)」について解説します。
目次(各項目に飛べます)
デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)とは
「デジタル化・AI導入補助金(セキュリティ対策推進枠)」は、中小企業等がサイバーセキュリティ対策を強化するため、ITツールやサービスを導入する際の費用の一部を補助する制度です。
サイバー攻撃による事業停止や情報漏えいなどのリスクを軽減し、取引先を含むサプライチェーン全体の安定化を図ることを目的としています。
1)補助対象者
補助対象となるのは、主に次の事業者です。
・中小企業者
・小規模事業者
業種ごとに資本金や従業員数などの要件が定められているため、申請前に対象となる企業規模を確認する必要があります。
このほか、過去のIT導入補助金の利用状況によっては申請できない場合や、賃上げ要件が課される場合など、細かな要件が定められているため、事前に公募要領で確認しておきましょう。
2)補助率・補助額
補助率と補助額は、次のとおりです。
・中小企業:補助率1/2以内
・小規模事業者:補助率2/3以内
・補助額:5万円~150万円
例えば、中小企業が100万円の対象サービスを導入する場合、最大50万円の補助を受けられる計算です。
ただし、実際の交付額は審査や対象経費などによって決まります。
3)補助対象
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載され、補助金事務局に登録されたサービスの導入費用や利用料が対象となります。
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(デジタル化・AI導入補助金2026)
https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/
※現在の受付は2026年10月30日(金)17:00締切分です。
次回以降の締切日は公式サイトの事業スケジュールをご確認ください。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、中小企業に必要なセキュリティ対策を、比較的安価な料金でまとめて提供するサービスです。
主に「見守り」「駆付け」「保険」の3つの機能が用意されています。
1)見守り
社内ネットワークやパソコンなどを監視し、不審な通信やサイバー攻撃の兆候を検知します。
ネットワーク全体を監視するタイプや、個々のパソコンを監視するタイプなどがあり、企業の利用環境に応じて選択できます。
2)駆付け
サイバー攻撃などの異常が発生した際に、専門家による相談対応や緊急時の支援を受けられます。
自社にセキュリティ担当者がいない場合でも、被害状況の確認や初期対応について専門的なサポートを受けられる点が特徴です。
3)保険
万が一、サイバー攻撃による被害が発生した場合に備え、一定の補償を受けられる保険が付帯しています。
事故対応に伴う費用負担を軽減する仕組みですが、補償内容や限度額はサービスによって異なるため、事前の確認が必要です。
申請の流れ
補助金の申請は、登録された「IT導入支援事業者」と協力して進めます。
主な手続きは次のとおりです。
(1)事前準備
「GビズIDプライム」の取得や「SECURITY ACTION」の宣言など、申請に必要な準備を行います。
(2)IT導入支援事業者・サービスの選定
自社の課題に合った対象サービスを選び、IT導入支援事業者と導入内容や費用を確認します。
(3)交付申請
IT導入支援事業者と共同で申請書類を作成し、電子申請を行います。
(4)交付決定・サービス導入
交付決定を受けた後に、サービスの契約・導入や費用の支払いを進めます。
交付決定前に契約や支払いを行った費用は補助の対象外となるため、ご注意ください。
(5)実績報告・補助金交付
導入完了後、支払いを証明する書類などを提出します。
審査を経て補助金額が確定し、補助金が交付されます。
なお、補助金交付後も所定の事業実施効果報告が必要です。
まとめ
サイバー攻撃は企業規模に関係なく発生するため、中小企業にも継続的な対策が求められています。
「セキュリティ対策推進枠」を活用すれば、最大150万円の補助を受けながら、専門家による監視や緊急対応サービスなどを導入できます。
情報漏えいや事業停止による損失を防ぐためにも、自社の対策状況を見直し、補助金の活用を検討しましょう。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。