
今回のコラムは「業務改善助成金」についてです。
令和6年度に引き続き、中小企業の皆様にとって大きな追い風となるのが「業務改善助成金」です。
令和6年度の当初予算8.2億円から、令和7年度には22億円と2.5倍以上に大幅増額され、さらに活用しやすい内容に改善される見通しです。
この助成金を活用することで、生産性向上や省力化投資を促進し、最低賃金引き上げに対応する経営基盤を構築しましょう。
令和7年度業務改善助成金の概要や見直し内容(変更点)について解説します。
目次(各項目に飛べます)
業務改善助成金とは
最低賃金の引き上げに向けた環境整備を目的とし、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援する制度です。
事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)の引き上げに取り組む事業者を対象に、その取り組みに必要な経費の一部を助成します。
令和7年度の予算増額は政府が中小企業の賃上げと生産性向上を強く後押しする姿勢のあらわれと言えるでしょう。
上限額は600万円で大きな設備投資にも対応可能です。
事業概要
生産性向上に資する設備投資などを実施し、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる中小企業等に対して業務改善に要した経費の一部を助成します。
具体的には、POSレジシステム導入やリフト付き特殊車両導入、顧客管理システムの導入など幅広い設備投資等が対象となります。
重要なのは、これらの設備投資が単なるコスト削減ではなく、生産性向上に繋がり従業員の賃金引き上げに貢献することです。
スキーム
賃金引き上げ+設備投資等→設備投資等に要した費用の一部を助成
対象者
- 中小企業および小規模事業者であること
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
- 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと
▼詳細は以下のリンクをご確認ください。
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25syokan/dl/01-07.pdf
令和7年度の見直し内容(変更点)
令和7年度の業務改善助成金は、より多くの事業者が活用しやすい内容に変更される予定です。
① 最低賃金別の助成率を引き上げ
「1,000円未満の場合は4/5」「1,000円以上の場合は3/4」に引き上げ。
より手厚い支援を行うことで全体の底上げを図る狙いがあります。
② 生産性要件の廃止
これまで申請のハードルとなっていた生産性要件が廃止されます。
これにより手続きが簡素化され、より多くの事業者が申請しやすくなります。
③ 夏と秋における賃上げ・募集時期の重点化
賃上げや人材募集の時期として夏から秋にかけてが重点化されます。
④ 特定時期の追加募集枠を設ける(推進枠)
特定の時期には追加の募集枠(推進枠)が設けられる予定です。
これにより通常の募集期間を逃した場合でも申請の機会が得られる可能性があります。
詳細なスケジュールは厚生労働省のホームページなどで周知予定です。
まとめ
令和7年度の業務改善助成金は予算の大幅増額、助成率の引き上げ、生産性要件の廃止など企業にとって非常に魅力的な内容となっています。
この機会を最大限に活用し、生産性向上と省力化を推進することで持続可能な経営基盤を確立し従業員の賃上げを実現しましょう。

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福岡県春日市・那珂川市の税理士・公認会計士 河鍋 優寛でした。
この記事の執筆者

公認会計士・税理士
大学4年次に公認会計士試験合格後、大手監査法人と税理士法人を経て、河鍋公認会計士・税理士事務所を開業。
資産税(相続税・贈与税・譲渡所得)の実務経験もあることから、会計顧問から資産税までご相談いただけます。
専門分野は会計、税務顧問・IPO支援&相続・事業承継です。